Presencing Somatics Trillium Institute Japan - Manual Therapy for Personal Transformation
Presencing Somaticsプレゼンシング ソマティクスとは

プレゼンシング ソマティクスと名付けられたこのワークは、元々この名前があった訳ではありません。米国の手技療法家・上級認定講師、ジャック ブラックバーン(Jack Blackburn, LMP, Master of theorogy)が、彼自身の経験と30年以上に亘るボディワークの中で発展させて来た手技療法技術と概念を表す言葉として後から名付けられたものです。

まず用語の説明をしましょう。
プレゼンシング(Presencing)
プレゼンシングは、ジャック独特の言葉とも言えます。経済学で使われるよりも前に、ジャックはこの言葉を頻繁に用いて、自らのワークの根幹を語っています。
日本の英語の授業で最初に習うひとつに、「出席」を表す「プレゼント(present)」があります。"I'm present!"というのは、「私は今ここにいます!」という意味で、「出席」です。この名詞が、プレゼンス(presence)です。ここでは簡単にいうなら「今の瞬間にあること(状態)」と訳してよいでしょう。
では、プレゼンシングとなると、意味はどう違うのでしょうか。
-ingをつけることで、プレゼンスの状態に「なる」という、意図/行為が入っています。つまりプレゼンシングという言葉になると、「今の瞬間にあること(プレゼンス)を自ら選択する」という意味になります。

ジャックのワークにおいては、プレゼンシングこそが核です。それは、仏陀やイエスが発見/体現した、私たちの人生の秘密とも呼べるものなのです。

ソマティクス(Somatics)
これは、まだ日本では聞き慣れない言葉でしょう。手技療法、ボディワークの中では、近年大変注目されている概念です。とはいえ、ボディワーク(手技)やその背景によって、この言葉の解釈は様々で、統一されているとは言えません。
ソマティクスのsoma(ソーマ)は、身体、肉体、体腔という意味です。ソマティクスという概念は、米国の哲学者トマス ハナが紹介しました。今はその難しい論文を持ち出すよりも、このワークの説明に留めます。
ここではソマティクスを、「自分の身体の中で起こっていることを感覚している(感じている)のを認識している状態」としましょう。

「プレゼンシング ソマティクス」は、このふたつの言葉が組み合わされています。今この瞬間に在ることを選択することと、自分の身体の中で起こっていることを感覚し、認識することは、どう関係しているのでしょうか。

プレゼンス(今という瞬間にあること)の状態になるために、人類は様々な努力や実験を試みて来ています。どうやら「今」が真の私たちのあり方や生き方、ひいては人類にとって大きな鍵となるものであることは遥か昔から気づいていることでもあるからです。

しかし、その状態になるために瞑想をしたり修行をしたり、新しいところではいわゆる自己啓発のトレーニングなどを実行してみるものの、マインド(精神)と肉体は離れる一方、あるいは肉体を切り離してマインドのみの「プレゼンス・今にあること」に焦点がいきがちです。

ところが、この「肉体」が「プレゼンス」の真の鍵となるものなのです。

仏陀が行なった菩提樹の樹の下での瞑想は今日「ヴィパッサナ」の瞑想法として伝えられていると言われます。数々の苦行や師に教えを請うことをしたのち、仏陀は人間の苦しみをなくすことへの答えが得られてはいないと分かり、肉体の最低限のケアだけはした状態で瞑想をすることに決めたのです。これがヴィパッサナと言われる瞑想法の元であり、基本は肉体での感覚や刺激をつぶさに感じ取ることで洞察が得られると考えられているものです。瞑想の実践で様々な苦しみや誘惑を経験する中、仏陀は、肉体が自分のマインド(精神)のあらゆることをただそのままに伝えてくれているのだと気づきます。マインドが苦しみを作り出している、それが仏陀の大きな理解となりました。

つまり、マインド(精神・心)と肉体は別々のものではなく、どちらが上位でも下位でもなく、互いが連動・影響し合っているのです。さらには、肉体はいつも中立な存在として、私たちのマインドがどのように働いているのかを忠実に、露わに示しさえするのです。

ここにもう一つ重要な要因があります。肉体は今という瞬間にしか存在しない、という事実です。
肉体は今の瞬間に生きることを可能にし、全てをまかなってくれています。過去や未来に存在していてはとても無理な機能です。私たちが肉体を過去の産物と思っているのは、過去にとらわれるマインド・精神の考え違いであり、原因と結果の混同なのです。

ここでソマティクス的な意識、つまり身体で感じることを意識的に行うことと「今」に在ることが符合して来ます。肉体的に感覚していることによって、私たちのマインドは「今」へと入れるようになります。

肉体こそがプレゼンス、今の瞬間へと入る入り口の役割を果たしてくれるのです。


ボディワークでは、触れる・タッチを媒体として、「今」をクライエントとプラクティショナ間で分かち合うことを可能にします。身体に意識をけ、「感じる」瞬間に両者は「今の瞬間・プレゼンス」へと入ります。過去や未来と決別し、今という唯一存在する時間を肉体感覚を通して経験します。すると、その感覚と経験は肉体を超え、「私」「他人」という分断さえもなくなります。

意図的に、「今」に在ることを選択する「プレゼンシング 」は、身体で起こっていること・感覚を認知的に分かっている状態となる「ソマティクス」で可能となり、今の瞬間の経験が自分自身の真の「存在」、在ることの意味、生命のありようを知ることへと繋がっていくのです。